立体駐車場に電気自動車(EV)の充電器は設置できる?
導入時のポイント・注意点などを解説
近年、環境意識の高まりや脱炭素社会への流れを背景に、電気自動車(EV)の普及が進んでいます。それに伴い、マンションや商業施設などに設置された立体駐車場でも、EV充電器を導入する動きが広がっています。
一方で「そもそも立体駐車場に充電器を設置できるのか」「どのような点に注意すればよいのか」といった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
本記事では、立体駐車場へのEV充電器の設置可否をはじめ、導入時に押さえておくべきポイントや注意点、費用や補助金制度について解説します。
立体駐車場に電気自動車(EV)の充電器は設置できる?
結論からいうと、立体駐車場でも条件を満たせば電気自動車の充電器を設置できます。ただし、自走式と機械式では設置方法や必要となる設備が異なります。
自走式立体駐車場では、駐車スペースの近くに普通充電器や充電用コンセントなどを設置する方法が一般的です。一方、機械式立体駐車場では、駐車装置の構造やパレットの仕様によって、設置できる設備や設置方法が異なります。
既設の装置では、装置構造や配線ルートなどの制約から、EV充電設備を後付けで設置することは基本的にできません。そのため、EV充電器の設置は、原則として装置の新規導入時およびリニューアル工事実施後の新規設置が主な対象となります。
立体駐車場にEV充電器を設置する際のポイント・注意点
立体駐車場にEV充電器を設置する際のポイント・注意点を「種類」「容量」「安全性」に分けて解説します。
種類
EV充電器は、大きく「普通充電器」と「急速充電器」に分けられます。普通充電器には、スタンドタイプや壁掛けタイプなどがあり、比較的長時間駐車するマンションや商業施設などの立体駐車場に適しています。
一方、急速充電器は短時間で充電できるのが特徴ですが、普通充電器と比べて大きな電気容量や設置スペースが必要になります。そのため、機械式立体駐車場では基本的に普通充電器を設置することになります。
容量
立体駐車場にEV充電器を設置する際は、建物や駐車場で使用できる電気容量を事前に確認することが重要です。必要な電力に対して容量が不足していると、ブレーカーが作動したり、建物全体の電力使用に影響したりする可能性があります。
特に、複数台のEVを同時に充電する場合や、高出力の充電器を導入する場合は、必要な電力も大きくなりますので、充電器の設置台数や出力を踏まえて、既存の電気設備で対応できるかを確認しましょう。
電気容量が不足する場合は、受変電設備の改修や契約電力の見直しが必要になることもあります。また、複数の充電器を導入する場合は、使用電力を自動的に調整するデマンドコントロール機能などを活用することで、電力の集中を抑えながら効率的に運用できます。
安全性
充電器の設置位置や配線、充電ケーブルの取り回しなど、安全面への配慮も重要です。車両の充電口の位置やケーブルの長さを考慮し、利用者の通行や車両の入出庫を妨げにくい場所に設置しなければなりません。
あわせて、漏電対策や接地など、適切な電気工事を行うことも欠かせません。特に機械式立体駐車場では、パレットや搬送装置が動くため、配線や充電ケーブルが装置の動作に干渉しないよう注意が必要です。安全に導入するためにも、経験豊富な業者に相談し、設備の構造に適した方法で設置を進めましょう。
かかる費用・補助金
立体駐車場にEV充電器を設置する際の費用は、充電設備の購入費に加え、設置工事費や配線工事費、場合によっては受変電設備の改修費などが含まれます。
設置する台数や駐車場の構造、既存設備の状況によって総額は大きく変わるため、まずは現地調査を含む見積もりを依頼する必要があります。
なお、補助金制度を活用することで、導入時のコスト負担を軽減できる場合があります。東京都では「充電設備普及促進事業(居住者用)」として、マンションなどに設置する充電設備に対する助成を行っています。
令和7年度からは、新たに「機械式駐車場パレット改修経費」が助成対象に追加されました。これは、充電設備の設置と併せて、老朽化したパレットを大型車・重量車に対応した仕様へ更新する費用について助成を受けられるというものです。
主な助成対象と助成額
助成の対象となる主な設備と、その助成額の目安は以下のとおりです。
普通充電設備や充電用コンセントスタンドなどの設備購入費は、機種ごとに上限が設けられたうえで半額が助成されます。設置工事費については、機械式駐車場へ設置する場合、1基目は上限171万円、2基目以降は1基あたり上限86万円が助成されます。
そのほか、機械式駐車場に充電設備を設置するためのパレット更新経費として1パレットあたり上限140万円など、工事の内容に応じたさまざまな助成が用意されています。
助成を受けるための主な要件
機械式駐車場のパレット改修経費について助成を受けるには、更新後のパレットが一定の基準を満たす必要があります。具体的には、駐車可能幅が1,950mm以上、耐荷重が2,300kg以上であること、EVコンセントをパレット上に設置することが求められます。
なお、既存のパレットがこれらの基準をすべて満たしている場合は対象外となりますが、 「幅」または「荷重」のいずれかが基準に満たない場合は対象となります。 ただし、実際に助成対象となるのは、既存パレットが基準未満の状態から、『幅と耐荷重の「両方」の基準を満たす仕様』へアップグレードするパレット更新区画のみです。 すでに基準をすべて満たしている既存パレット区画の更新や、更新後もどちらか一方でも基準を満たさないパレット区画は助成対象外となります。
また、パレット更新『後』の敷地内にあるすべての機械式駐車場の総区画数に応じて、最低限設置すべき充電設備の数も定められています。9 区画以下であれば1口以上、10〜49区画であれば総区画数の20%以上(小数点以下切り捨て)、50区画以上であれば10口以上が必要です。すでにこの基準を満たしている場合でも、今回の工事で新たに1口以上を設置することが助成の条件となります。 なお、更新予定の機械式駐車場が構造的に分かれた複数棟(独立した昇降ユニットが複数)からなる場合は、全体の割合を満たすだけでなく、各棟につき最低1口以上の充電設備を設置する必要があります。
補助金制度は年度によって内容や要件、募集期間が変わることがあります。申請にあたっては、最新の情報を確認したうえで、業者に相談しながら計画を進めることをおすすめします。
立体駐車場に関するご相談は「IHI扶桑エンジニアリング」へ
立体駐車場へのEV充電器の設置は、設備の構造や電気容量などの条件を満たせば可能です。導入時は、充電器の種類や必要な電気容量、安全性を確認し、駐車場に適した設備を選ぶことが大切です。
また、設置工事や設備改修には費用がかかりますが、補助金を活用できる場合もあります。導入を検討する際は、最新の制度を確認し、専門業者へ相談しながら進めましょう。
なお、立体駐車場やEV充電設備の導入をご検討中の場合には、ぜひ「IHI扶桑エンジニアリング」にご相談ください。弊社は機械式駐車場に関する豊富なノウハウがあり、製品開発からメンテナンスまでの一貫体制で、お客様のニーズに最適なプランをご提案しております。
監修者 株式会社IHI扶桑エンジニアリング 営業企画部
弊社は二段式・多段式駐車装置のリーディングカンパニーとして、社会環境の変化や多様化するお客様のニーズにお応えできるサービスを提供しております。